7年かけて全額返済!開業資金を貸してくれた義父の涙

・50代、男性、埼玉県

<30代で脱サラし、自営業に>

私は大学を卒業して、ある比較的大きな会社に就職しました。自ら望んだ業種でしたから、その時点では大変満足していました。

けれど、実際に勤め始めてみると、自分の性格に合わない業種であることがわかり、将来その会社に勤め続けていく自信がしだいになくなっていったのです。

30代になったときに、人事異動があり、思いも寄らないセクションへ移ることになりました。ますます自信のないセクションです。「これは自分にとっては、いいきっかけかもしれない」と考え、辞表を提出、転身を決意したのです。

妻にはかなり前から私の気持ちを伝えていましたし、「いっしょに何かお店をやってもいいわよ」と言ってくれていたので、その点はほんとうにありがたかったと思っています。

こうして私は30代で自営業者になりました。ある小売店を夫婦で始めたのです。

<開業資金の調達>

開業資金については、それまでの貯金がまずベースとなります。けれど、サラリーマンとしてのキャリアが浅いので、たいした金額ではありません。

国民金融公庫からの融資も考えてみましたが、かなり手続きがめんどうで、面接や審査で時間もかかるということを知りました。さんざん審査を待った挙句に「融資不可能」などと言われたのでは、どうしようもありません。

そこで、夫婦それぞれの銀行口座で使えるカードローンをまず利用。あとは、親類や友人に頼ることにしたのです。

その時点で私の父はすでに他界しており、母も病気がちでしたから、私の親に頼ることは不可能です。弟がひとりいますが、結婚したばかりで、とても借金の話をできるような状況ではありませんでした。

友人にも、まとまったお金を用立ててくれそうな人はいません。ほとほと、困ってしまいました。

そんなときに助け舟を出してくれたのが、妻の父、私にとっての義父でした。義父は不動産関連の会社の役員をしており、金銭的にはかなり裕福だったのです。

迷いましたが、ほかに頼れる人はいません。妻からも強く勧められ、この際つまらない見栄を張るのはよそうと思い、義父からまとまった資金を援助してもらうことにしたのです。

<完済した日のこと>

身内だからと言ってなあなあにする気は私にはありませんでした。義父もそこはきちんとしたほうが、これから店をやっていく上でいいだろうという考えでした。

そこできちんと借用書をつくり(不動産業の義父にとってはお手のものです)、返済方法も相談して決めました。

なにしろ、これから新しく店を始めるのですから、毎月どれだけの売り上げがあり、利益が出るのかはまったわかりません。その話をすると、義父は「半年間は返済を猶予する」と言ってくれました。

開業してから最初の半年間は返済しないでいい。そして7か月目から、毎月定額を返していくという方法です。後から考えると、これが店にとって大変大きなプラスとなったのです。

「半年、無我夢中でがんばって、7か月めからは決められた額を返せるようにしよう」という目標ができたわけです。「7か月目」というのが夫婦の合言葉のようになりました。

結局、完済するまでに7年ちょっとかかりました。毎月、妻が実家に帰ってお父さんに返済金を手渡していたのですが、最後の返済は夫婦そろって行きました。

私の手から「ほんとうにありがとうございました」と義父に渡すと、義父も義母も涙ぐんでいました。義父は「こんなに早く返してもらえるとは思っていなかったよ」と言ってくれ、その後、お酒を酌み交わしたのです。

父を早くになくした私は、義父がほんとうに父親のように感じられました。生涯忘れられない、義父の涙でした。ちなみに義父は現在80代ですが、元気にしています。


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